2015.01.16

町の再生とリノベーション。

昔は活気が良かったものの、今では古びてシャッター街になっている。そういう町は全国で結構な数に上ります。京都ではいろいろとそういった地域の活性化に向けて、京都市もそうですが、地域が町ぐるみで町おこしをしたり、新規テナントを誘致して、元々の入居テナントや老舗の店舗とコラボして町に人々が集まる努力をしています。

正直なところ、京都に限らず、イオンをはじめとする大型ショッピングセンターに集客され、周辺の商店街やテナントが苦しくなってきているのも現状かと思います。物販店に至っては、リアル店舗(いわゆる路面店舗等)を必要とせず、インターネットで商売できる仕組みがあるため、だんだんそっちにシフトしている傾向もあります。

たった数年でこういった現状になっていることを踏まえ、今回は神戸・新長田の現状のお話です。

明日が阪神淡路大震災から20年ということで、神戸の特集が多く、ある意味それに便乗していますが、、、

新長田は地震により、壊滅的なダメージを受けた地域です。火災により、商店街は焼け野原となり、言葉では説明できない状況でした。

それに合わせ、神戸市が中心となり、この周辺の都市開発に乗り出しました。

新長田の震災以前の雰囲気は、京都でいうと大手筋商店街のような活気のある街でした。JRは普通しか止まりませんが地元住民に愛され、国道2号線に停車するバス停は、各地域からの乗降客でいっぱいでした。

それが地震後、当時あった商店街は修復できるレベルになく、神戸市が復興を掲げ、下層階が商業店舗で上階がマンションとなる複合ビルを数棟建てる計画を立てます。

そして今の現状です。

今、新長田にある「アスタくにづか」というビルがこの時に計画されたビル群です。そして、今はシャッター街というような状況になってしまいました。

地震から10年近く経過して建てられた建物。その間にも世間の状況は変わっていきます。

元の地権者から神戸市が土地を買取り、開発後、元の地権者を優先的に入居(土地・建物の買取)させる計画でした。土地価格は行政が買い上げた金額もあり、問題はないですが、そこに建物代金や内装費等がかさむため、新規で住宅ローンを組む入居が増えました。

また、商店街当時はさほど係らなかった管理費が、商業ビルになったとたん、数倍に膨れ上がりました。さらに、JR新長田駅前の開発が進むとそっちに人の流れが変わり、アスタくにづかは極端に人が集まらなくなり、店をたたむ人が増えていきます。

もちろん、借金と高い管理費はそのままで。

神戸市も売れ残った区画を格安で貸し出す方向に方針転換したため、地価も暴落し、所有者は売りだすこともできず、八方ふさがり状態。

それが今の状況です。

では何が問題だったのでしょうか。

この計画当時、商業施設というのがさほど知名度が高くなかったように思いますが、結局は計画・建築・竣工・オープンまでに時間がかかりすぎたことが最たる原因かと思われます。

広大な土地の開発プロジェクトであったため、国道2号線を挟んで当時人気のあった南側と駅のある北側とで開発を進めていきましたが、恐らく人の集まりがあった南側エリアに人が戻ってくると踏んでこういう計画になったかと思いますが、あまりにもリスクを甘く見ていた気がします。

駅前の開発が進むとそっちに人の流れができてしまうこと。南側の集客はそのままで、北側の開発により今よりもさらに集客できると踏んだ誤算も原因かと思います。

三宮や神戸(ハーバーランド)のように、新快速も止まり、より遠方からも集客が見込めるエリアと違い、普通電車しか止まらない、ローカルエリアで何を根拠にそういう集客ができると踏んだのかも不明です。

また、建物を建てたのは良いものの、しっかりとしたコンセプトを打ち出せず、PRできていないことも原因です。

昔の商店街の人たちを再び集めて、新規区画に新規テナントを誘致すると、前よりも経済効果が高まる。上階はマンションなので、人口も増え(実際に増えている)、前よりも活性化する。

単純にそういった概念で開発したとしか思えません。

復興という大義名分があるにせよ、そこで商売をする人にとっては、周りの環境が一番重要なもので、今回のケースは、最終神戸市が格安で空き店舗を貸し出している現状を考えると、神戸市主導で地価の下落を招いたと思えます。

新長田のこれからの課題は、どういったコンセプト町づくりをしていくのか。ミュールをはじめとした靴製造の魅力があるこの町では、そこを中心にした町づくりや海の近くでもあるので、海と絡めたテナントを集めるとか新しい方向性が重要です。一過性の話題づくりで人気のショップを誘致しても、結果的には繋がりません。また、お年寄りの多いエリアでもあるので、大型医療モールとしても活用できそうです。

ある意味、今現在、マスコミを含めて注目度の高い状況で、町の活性化という大義名分の下、しっかりとしたコンセプトと方針さえ出せば、まだまだ将来的なビジョンも見えてくるかと思います。

京都でもそうですが、ローカルエリアは中心地には勝てません。そもそもの集客数が違いすぎます。

でも、ローカルならではの生き残り方や話題つくりは可能です。そして、明確なビジョンを掲げて町ぐるみで同じ方向さえ向けば、必ず進化する町だと思います。

神戸市の方針転換で、再入居する際に建物を買った人たちにすれば、虫のいい話なのかも知れませんが、今はこれからのことを考えていかなければならないと思います。

そこは、行政主導ではなく、第三者機関や当社のようなリーシングを専門とした不動産会社に委託する事が近道かも知れませんね。

京都では、特に大学の移転により、ダメージを受けたエリアや恩恵を受けたエリア等が生まれています。また、管理組合や商店街組合等をうまくまとめきれず、そのままになっている地域等もあります。

自分たちの利権はもちろん大事ですが、その利権をさらに価値あるものにするために、地域の活性化を進める必要があると考えます。

それは場合によっては、多額の費用が発生する建て替えや建物のリノベーション等も必要です。

古いビルの再生、を通り越して、そのエリア全体の再生へ。

各エリアの皆様。当社ではそのお手伝いをさせていただきます!

お気軽にご相談下さい。

本日は、丸毛が担当しました。

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