2016.05.02
京都を含む阪神淡路大震災から、東日本大震災を経て、今回の九州・熊本地震。
阪神淡路大震災の際に、1981年以前の改正前の旧耐震基準の建物の多くが倒壊し、未曽有の災害となったのを受け、新耐震への改修工事を促進させる対策も行いました。
実際、熊本県での建物の約70%は新耐震を満たす建物だったといいます。
しかし、今回、熊本の地震では、多くの「新耐震基準の建物」が倒壊しています。
そもそも、震度6強~震度7の地震に耐えうるために改正し、その改修も促したにも関わらず、熊本では多くの建物が倒壊してしまったのでしょうか。
災害が起こる度に、ニュースでは「想定外」という言葉が飛び交います。
もちろん、実際に想定している以上のことが起こってるわけで、だからこそそういった言葉を使います。
しかし、本来はそういった想定外まで規定したうえで、法改正をすべきだっと思います。
今回の新耐震基準の建物の倒壊で、恐らくほとんどの人が知らなかった事実がわかりました。
「新耐震基準は、連続した大地震に対応していない。」
今回の熊本大地震は、震度7の地震がわずかな期間の間に連続して起こりました(正確には場所はずれていますが、ほぼ同じエリアです)。
熊本地震では、新耐震基準の建物の多くは一度目の震度7の地震には耐えました。
だからこそ、被災者は家に戻る選択もしました。
しかし、そこに連続して同様の大地震が発生。
一度目の地震を耐えた建物ですが、その段階で基礎や梁等へのダメージもあり、同様規模の2度目の地震には耐えられなくなり、倒壊するという現象が起きました。
中には、数年前に耐震工事を完了させた庁舎や学校も含まれています。
こういった、1度目の地震によるダメージが残ることを「揺れ疲れ」と呼ぶそうです。
よくよく考えればわかることですが、建物は、大きなダメージを受けたまま前と同じ状態にまで自動的に回復するわけではありません。受けたダメージを耐えうる構造ではあるものの、受けたダメージは回復させないといけないのです。
恐らく、多くの方が勘違いしていると思いますが、
耐震補強した=地震後もそのまま住める、と思っている人も多いかもしれません。
だからこそ、被災後に何もしないまま「家に戻る」という選択ができてしまうわけです。
これは、そういった行動をとった人を責めているのではありません。事実、恐らくですが、多くの人が同じように行動するでしょう。阪神淡路大震災の時も、よくよく考えれば新耐震で耐えた建物に、補修もなく戻って生活している人が多数いました。
今回の問題は、そういった行動をとったことではなく、「そういった事実を事前に説明できていなかったこと」だと思います。
耐震工事が完了した段階で、「1度の地震しか耐えられない。大地震の後は点検・補修しないと住めません」という説明を受けた人はどれだけいるでしょうか。
一般の人にとって、耐震工事=安心という認識が大多数だったのではないでしょうか。
まずは、今回の地震の教訓を、全員が認識することです。これにより、新耐震構造への認識不足による2次災害を防ぐことができます。すなわち、
「新耐震基準の建物であっても、一度大災害にあったら、点検等が終了するまで住まない。」
一見当たり前のようなまとめですが、現実問題、戻らざるを得ない事実もあります。
そのために、地域や行政がそういった知識のもと、指導していかなければ現実的には厳しいかと思います。
しかしながら、こういった知識を皆が共有し合うことで、新たな対策が取られるのではないかと思います。
最後になりますが、京都でこういった地震が発生した場合はどうなるのか。
残念ながら、多くの寺社仏閣は倒壊若しくは大破し、また、多くの建物も倒壊するといわれています。最近建ったビルや商業施設等は耐えうるかもしれませんが、同様に2度目の地震へのリスクは存在します。
地域として、町として、京都もこれまで以上に防災の意識を高める必要があると思います。
そのためにも、まずは自分自身の知識を高めることも重要です。
自分の身は自分で守る。こういった知識は、誰も教えてくれません。
日々、防災の意識を高めていきましょう。
本日は、丸毛が担当しました。