2016.06.25
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こんにちは。大陽リアルティの辻です。
夏至も過ぎ、いよいよ夏本番に突入かという今日この頃。
梅雨空のためか朝晩は肌寒いぐらいですが、昼は京都特有の蒸し暑さが外回りの身には堪えます(>_<)
ちなみに「夏至」とは一年で最も昼(=日の出から日没までの時間)が長い日で、
最も太陽の南中高度が大きい日、最も太陽が北寄りから日の出し、北寄りに日の入りする日です。
今年の夏至は6月21日で、日本の場合、毎年6月21日か22日になるそうです。
6月21日の京都の日の出時刻は午前4時43分、日の入りは午後7時14分でした。
夏至のうんちくでした(^^♪
2022年に京都も含めた大都市圏で戸建て住宅やマンションの売買価格、賃貸価格が大暴落する恐れがあるというお話です。
その原因は「生産緑地法」という法律。
住宅地の真ん中にたまにほとんど手が付けられていない畑があったりしませんか?
よくよく見ると、冒頭の写真のように標識が設置されています。
これが「生産緑地」です。
京都では市内中心部にはあまり見られませんが、北山や西京極など辺縁部に多く見られます。
生産緑地法は1974年に公布されました。
公布当初の目的は、市街化区域内の農地を宅地化することだったので、農地に対して宅地並みの固定資産税が課税されました。
通常、農地の収益性は宅地に比べると非常に低いため、固定資産税は宅地の数百分の一に軽減されています。
これが生産緑地法の施行によって宅地並みになり、農業収入を上げていても固定資産税を賄えないという状態になってしまい、多くの農地は売却、宅地化されました。
その後、1992年の同法改正によって、一部の自治体が指定した土地については固定資産税が従前通り農地並みに軽減されたり、相続税の納税猶予が受けられるようになりました。
改正によって農地を所有することの経済的負担が全く逆になったのは面白いですね。
このような改正になったのは、「大都市圏など一部地域において都市化が急速に進んでいるが、いっぽう緑地が本来持つ地盤保持や保水などの働きによる災害の防止、および農林漁業と調和した都市環境の保全などのため、将来にわたり農地または緑地等として残すべき土地を自治体が指定することにより、円滑な都市計画を実施することを主目的としている」からです。
生産緑地は日本全国にあるわけではなく、大都市圏の一部自治体に限られています。
具体的には、東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏の政令指定都市(横浜市、川崎市、相模原市、さいたま市、千葉市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市の13市)、首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法に規定する一定の区域内(中部圏の場合は都市整備区域内)にある市です。
さて、現状では生産緑地指定をすることで所有者の経済的負担は軽減されています。
しかし一方で、以下のような制限もあります。
・当該土地の所有者または管理者等に、農地としての維持管理を求められる。
・農地以外としての転用・転売はできない(農地としての転売については農地法による手続きにより可能)。
・生産緑地地区内において建築物等の新築・改築・増築や、宅地造成等土地の形質の変更は出来ない。ただし農業等を営むために必要であり周辺環境に悪影響を及ぼさないもの(ビニールハウス、水道設備や従業員の休憩所等)は市区町村長の許可を受けて設置することができる。
・土石の採取、水面の埋め立て、干拓などが制限される。
・上記に違反した場合、原状回復命令が出されることがある。
また、生産緑地の指定解除の手続きも定められていますが、簡単には解除できない要件となっています。
・生産緑地の指定後30年経過。
・土地所有者または主たる従事者の疾病・障害等により農業等の継続が困難な場合。
・土地所有者の死亡により相続した者が農業等を営まない場合。
ここで生産緑地の指定後”30年”経過という点がポイントになります。
1992年改正+30年=2022年ですね。
現時点では生産緑地の指定解除は要件が厳しく、なかなか出来ることが少ないですが、
指定後30年経過すると、いつでも自由に解除できるのです。(実際には農業従事者に買取をあっせんするなどの手続きがありますが、通常買い手はないらしいです。)
2013年3月時点で13,859ヘクタール(約4,192万坪)あった生産緑地が、
2022年時点の予測値で12,750ヘクタール(約3,856万坪)になると仮定して、その多くが一時期に大量に市場に放出される可能性があります。
当然すべてが解除になるはずはありません。所有者からするとそのまま生産緑地にしておいても損するわけではありませんので。
また市場で取引するためには、生産緑地を解除した後に農地転用し宅地にする必要があります。
ただ、ハウスメーカーやデベロッパーなど建てて売り続けなければならない企業にとっては、これは千載一遇のチャンスとなるため、同業他社を含めて自制をしなければ、相当の供給過多に陥り、結果販売価格や賃料が低下することが予想できます。
2022年以降、生産緑地が自由に解除できるようになると、約4000万坪の生産緑地が多少なりとも市場に放出されます。
それが数%なのか数十%なのかは分かりません。
ただ、既に住宅の供給が需要を上回っている現状に、さらに拍車をかけることは間違いないでしょう。
2020年の東京オリンピック終了後に予測される不動産価格の下落に、さらに生産緑地の問題が入ってくるのです。
※本日の内容は仮定と予測のもと構成されておりますので、将来住宅価格が低下することを言及するものではありません。
本日は辻が担当致しました!