2019.07.14
来年(2020年)4月より、民法が改正されます。
結構深いところで、私達の仕事にも絡んできますので、少しまとめていきたいと思います。
さて、では一体何が変わるのか。
もっとも関わってくるものでいうと、
「連帯保証人」についてです。
今までは、賃貸借の契約時に、賃借人とは別に、連帯保証人をお願いしていました。
特に気にせず、契約書の保証人欄に署名・捺印する人もおられますが、これからはここが変わります。
連帯保証人自体の権利は変わりませんが、連帯保証人として有効な手続きが必要になります。
では、実際にどういうことが必要なのか。
今までは、連帯保証人は、賃借人の負債を際限なく負担することになります。
すなわち、賃借人が賃貸人に対し、賃料の滞納や何らかの事故などで300万の負債を抱えたとします。
賃貸人は、賃借人が支払わないのであれば、遅滞なく保証人に請求することができ、これは契約が続く間ずっと続きます。
ところが、今回の民法改正においては、連帯保証人に対して限度額が設定されます。
上記のケースの場合、200万までと契約書に記載されて入れば、賃貸人は賃借人がどれだけ負債があっても、保証人には200万までしか請求できません。
また、限度額は積み上げ式で、その限度額を超えてしまうとそれ以上の請求ができません。
つまり、3ヶ月前に50万の代位弁済をしていた場合、今回保証人に請求できるのは150万円となります。
しかも、一度でも限度額を満たしてしまうと連帯保証人としての義務が終了します。(限度額までなので)
つまり、その後については、実質連帯保証人がいないものとみなされます。
そうなると、かなり賃貸人に不利になると思いませんか?
本来、賃貸人と賃借人は対等な関係のはずです。
連帯保証人は、それを保全するシステムです。
その保全システムが機能しなくなる可能性が生まれた以上、何らかの対策が必要になります。
これが結構手っ取り早いですが、難関でもあります。
だって、好き好んで保証人になろうとする人なんていません。
最近は、利用頻度も増えてきていますが、これからますます増えていくことになります。
保証人が抱えきれない賃料滞納について、保全してくれます。
賃貸人としては、かなりうれしい保全です。
民法改正によって、各保証会社の保証内容も変更になる可能性もありますので、今後に期待ですね。
では、事業用賃貸の場合はどうでしょうか。
基本的に賃料も高めに設定され、何らかの損害賠償や原状回復等の費用も高額になる事業用賃貸の場合、下記のことが義務付けられます。
つまり、連帯保証人になる人に対して、賃借人は、今現在の金銭状況や借金等の情報、返済などの状況等、財務状況を開示し、説明し、連帯保証人に承諾を得なければなりません。
これがないと、事業用賃貸において連帯保証人と認められず、実質保証人無しと変わらない状況になってしまいます。
なお、法人契約で代表が保証人の場合は適応されません。だって、法人の代表が法人の財務状況を知らないわけないですから。
また、連帯保証人は、賃借人の支払状況等について賃貸人に説明を求めることができ、賃貸人はそれに答える義務があります。
答えない場合、連帯保証人としての権利が消滅し、これも実質保証人無しと同様になってしまいます。
あと、法改正以前に契約した賃貸借契約がどれだけ有効になるかという問題もありますが、法改正以後に更新した賃貸借契約の場合、その更新以後は法改正の内容が適応されます。
そのため、更新業務時に今回の内容を踏まえた契約書に変更する必要があります。
※合意更新のみ
このように、賃貸人はいろいろと対策をする必要があります。
管理会社に依頼しておらず、でも自身で対応できる人は問題ないですが、もし、民法改正を気に対策を講じたいのであれば、当社までご一報ください。
将来における安定した収益を確保するために、必要経費は発生するかもしれませんが、必要な対策だと思います。
相談は無料ですので、ご遠慮なく。
本日は、丸毛(まるも)が担当しました!