2020.01.30

京都の景観規制の注意点

京都は景観の規制が厳しい地域ということがよく言われます。

 

有名なのは「京都市屋外広告物等に関する条例」を根拠とした、いわゆる看板条例。

 

京都市内全域が規制の対象で、

第1種から第7種地域まで(数字が大きくなるほど規制が緩くなる)と、

沿道型第1種から第6種、屋外広告物禁止地域、世界遺産界など、26の地域に細分化されています。

 

10年ほど前までは、条例はあっても、取り締まりが厳しくなく、見逃されていたケースも多かったようですが、

ここ5年ほどで一挙に適用が厳しくなりました。

四条通沿いの袖看板が全て撤去されたのも、その時期です。

 

この条例に関しては、規制はあるものの、看板自体がNGというエリアは基本的には無いので、

テナント出店に関しても、とどのつまりは「何とかなる」とも言えます。

 

しかし、下手をするとイメージしていた店舗が全然作れない、という致命的に厳しい制度が適用される場合もあります。

それが、「地域景観づくり協議会制度」です。

 

「地域景観づくり協議会制度」とは

地域景観づくり協議会は,地域の方々が想いや方向性を共有し,さらには,新たにその地域で建築等をしようとされる方々と一緒になって地域の景観づくりを進めていくことを目的とした制度です。平成23年4月から実施し,これまでに,10の団体を協議会として認定しています。(京都市ホームページより)

 

実務的には、この協議地区内において、建築等をしようとする事業者等は、

景観関係の手続(美観地区での認定,屋外広告物条例の許可等)に先立ち、

建築等の計画内容について,協議会と意見交換を実施する必要があります。

 

つまり、テナント工事での看板設置や外観の変更が市条例に定める範囲内であっても、

協議会との意見調整が整わないと、行政が許可しない、という制度なのです。

 

これは場合によっては、困難な状況になる可能性があり、

例えば、テナントの評判が悪いとか、態度が良くないとかで、

地域の協議会に嫌われてしまうと、なかなか希望が通らないということにもなります。

 

“法治国家”において”人治”を認めている制度とも言えるのです。

 

認定地域

そういった地域は、この制度が実施された平成23年4月から漸次増え続けており、

令和2年2月の時点で10の地域が、間もなく、嵐山駅前周辺も加わり、11地域となります。

 

具体的な認定地域は以下の通りです。

 

①修徳景観づくり協議会、下京区修徳学区、平成24年6月1日認定

②先斗町まちづくり協議会、中京区先斗町通付近、平成24年6月1日認定

③西之町まちづくり協議会、東山区新門前通付近、平成25年1月10日認定

④一念坂・二寧坂 古都に燃える会、東山区一念坂・二寧坂付近、平成25年4月15日認定

⑤桂坂景観まちづくり協議会、西京区桂坂付近、平成25年5月31日認定

⑥姉小路界隈まちづくり協議会、中京区姉小路界隈、平成27年3月31日認定

⑦明倫自治連合会、明倫学区全域、平成27年6月1日認定

⑧仁和寺門前まちづくり協議会、右京区仁和寺門前、平成28年7月7日認定

⑨京の三条まちづくり協議会、中京区三条界わい、平成29年6月30日認定

⑩祇園新橋景観づくり協議会、東山区祇園新橋界わい、平成30年8月1日認定

⑪嵐山まちづくり協議会、長辻通,渡月橋の東西,中之島付近、間もなく

 

テナントニーズが多い、

②、④、⑦、⑨、⑪のエリアなどは特に気を付ける必要があります。

 

重要伝統的建造物保存地区

これとは別に、文化財保護法で定められた「重要伝統的建造物保存地区」という規制もあります。

これはまた別の機会に・・

 

本日は辻が担当しました!

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