2020.02.22
「京都の近代建築物」シリーズも最終回。
昭和時代です。
昭和ももはや2代も前の時代になるのですね。
私が賃貸住宅の仲介をしていた頃は、平成生まれの大学生が現れ始めて大騒ぎしていましたが、
今や平成元年生まれも30歳か31歳。
結婚もして仕事もバリバリ、という世代になってきているわけです。
さて、そんな独り言は置いておいて、
昭和時代の価値ある建築物をご紹介致します。
テナント利用されている建物など、現役のものが多くあります!
所在地:京都市上京区烏丸通丸太町上る春日町
元大丸百貨店社主の旧宅で、W.M.ヴォ-リス建築事務所の設計により昭和7年に建築。
所在地:京都市中京区姉小路通東洞院西入車屋町
逓信省技師の吉田鉄郎の設計。大正15年,昭和6年の2期に分けて建築されました。現在は「新風館」として活用されています。
所在地:京都市中京区三条通御幸町海老屋町,同区三条通御幸町東入弁慶石町
武田五一の設計により昭和3年に建築。1928ビルとして現在も活用。
所在地:京都市左京区北白川伊織町
京都帝国大学理学部の駒井卓教授の住宅として,昭和2年に建築されました。
所在地:京都市山科区御陵大岩
染織学者で京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)学長を務めた鶴巻鶴一の住宅として,昭和4年に建てられました。設計は同校教授でもあった本野精吾。
所在地:京都市東山区馬町通大和大路東入鐘鋳町他
柳宗悦らとともに民芸運動を推進した陶芸家・河井寬次郎の住宅兼工房として,昭和12年に建てられました。設計は河井自らが行い,大工業を営む実家から兄・善左衛門を呼び施工しました。
所在地:京都市東山区大和大路東入祗園町南側
大倉財閥の創始者・大倉喜八郎の京都別邸として,昭和2年に建てられた洗練された近代和風建築です。設計は祗園閣と同様に伊東忠太が,施工は京都の大工・北村伝兵衛親子(8代,9代)が行いました。
所在地:京都市東山区大和大路東入祗園町南側
大倉家京都別邸内に建つ,祇園祭の山鉾を象った意匠の望楼的施設で,主屋(現大雲院書院)からの景観要素としての意味もありました。同じく伊東忠太の設計による,昭和2年の建築です。
所在地:京都市左京区岡崎円勝寺町
昭和3年の御大典に際して,金沢市の横山鉱業部の社屋建物を移築したもので,元首相の犬養毅や大蔵大臣が宿泊しました。
所在地:京都市伏見区弾正島~向島西堤町
旧奈良電鉄(現近鉄京都線)によって昭和3年に宇治川に架けられた鉄製の単純トラス橋です。関場茂樹の設計で,神戸川崎造船所で製作されました。
所在地:京都市東山区四条通大和大路西入中之町(四条大橋東詰)
南座は公許の芝居小屋として江戸時代の初めより続いてきました。現在の建物は,白波瀬直次郎の設計,白波瀬工務店の施工により昭和4年に建てられたものです。
所在地:京都市聚楽廻中町
昭和5年に建てられた木造の教会建築で,信徒の画家・園部秀治がデザインし,米人宣教師建築・バーガミニーが実施設計を行いました。
所在地:京都市左京区北白川東小倉町
外務省の外郭団体である東方文化学院京都研究所として,昭和5年に建築されました。設計は武田五一に委嘱されましたが,教え子の当時大学院生・東畑謙三が設計実務にあたりました。
所在地:京都市左京区北白川追分町
当時京大営繕課の大倉三郎による設計で,昭和6年に建てられました。
所在地:京都市上京区今出川通烏丸東入玄武町
武田五一の設計による昭和7年の建築です。
所在地:京都市右京区太秦組石町
漆芸家・徳力彦之助が,英国客船の内装部材を購入し,それに合わせて自ら設計した住宅兼アトリエです。櫻井馬渕建築事務所が実施設計を行い,昭和12年に建築されました。
所在地:京都市左京区吉田泉殿町
20世紀を代表する仏人建築家オーギュスト・ペレの弟子とされるレイモン・メストラレの設計,木子七郎の実施設計によって,昭和11年に建てられました。
所在地:京都市東山区祇園町南側
弥栄会館は祗園甲部歌舞連場の施設の一つで,コンサート等の新たな大衆娯楽に対応して昭和11年に建てられたホール・事務所建築です。大林組の木村得三郎の設計
所在地:京都市右京区鳴滝宇多野谷他
陽明文庫は近衛家旧蔵の史料,美術品を伝える施設です。設計はいずれも建築家・長谷部鋭吉で,和風をモダンに咀嚼した彼独特の作風が現れています。虎山荘は大工棟梁・俣野忠蔵の施工によります。
所在地:下京区西木屋町通四条下る船頭町
京都の知識人のサロンとして長年親しまれてきた老舗喫茶店。木造2階建ての伝統的な町家を,昭和16年に洋風に改造した建物。文化財に登録されているのは,この時改修された北半分の部分です。設計は,当時京都大学に留学していたイタリア人のベンチベニ。
所在地:右京区嵯峨小倉山田淵町
映画俳優・大河内伝次郎が自らの好みで建てた邸宅です。大工棟梁は数寄屋大工の笛吹嘉一郎。昭和6年から16年に建築。
所在地:北区紫野東藤ノ森町11-1
昭和5年(1930)の上棟。施工は山本辰吉(大工),仙石要次郎(手伝),吉田英輔(煉瓦)で,設計は京都工務所。
所在地:上京区今出川通烏丸東入相国寺門前町
新島襄の母校,アメリカのアーモスト大学からの派遣学生・S.B.ニコルスの母親が夭折した息子を記念して寄付を申し入れたことが館名の由来です。ヴォーリズ建築事務所の設計により,学生寮として,昭和7年に建築されました。
所在地:左京区浄土寺石橋町
日本画家の橋本関雪が、昭和2年に2度目の欧州旅行を行った際に買い求めたコレクションの展示用として,昭和4年頃に建てた建物です。
所在地:中京区麩屋町通六角下る坂井町
あめりか屋京都店の設計,施工により、昭和10年に建築されました。
国登録有形文化財:21件
京都市指定有形文化財:1件
京都市登録文化財:3件
国宝・重要文化財は大正時代と同じくありませんでした。
大学関係では、
京都大学:2件
同志社大学:2件
京都大学・同志社大学は明治・大正・昭和を通じて文化財があります。
以上、京都の近代建築物をご紹介させて頂きました。
江戸時代以前だけでなく、近代でもこんなに価値ある建物がたくさんあったのには驚きました。
その多くが街中でよく見かける建物だったのも意外でした。
京都にはまだまだ知らない魅力がありそうですね。