2019.08.15
今回は、永遠の議題である「京都らしさ」についてです。
皆さんは、京都らしさと聞いて、何を思い浮かべますか?
木造の町家?
ひとえに、京都らしさといっても、京都の人が思うものと京都外の人が思うらしさが違うという点もあります。
正直、今までいろいろと意見が交わされてきました。
木造の町家はもちろん、明治・大正の近代史を彩る建物も多いのが京都。
何をもって京都らしさというのでしょう。
例えば。
大型の町家があったとします。
そして、それをとある企業が購入し、ホテル建設を計画します。
ここで、大半の人は「せっかくの町家を取り壊すなんて京都らしくなくなる」という意見がでてくるかと思います。
一般的には、この感覚が京都らしさだと思います。
でも待ってください。
その感覚こそがこの問題の議題なんです。
京都という町は、歴史が古いです。
そして、その長い歴史の中でいろいろな建物が建てられてきました。
いわば、当時の最先端の技術を駆使して作られた建物です。
歴史上、京都は常に最先端都市であり、それは今も続いていると思っています。
実は京都という町は、結構「初めて」が多い街です。
路面電車が初めて走ったのが京都。水力発電所を初めて作ったのも京都。映画を初めて上映したのも京都だそうです。
京都人気質でいえば、古い街なのに新しいものが好きな街といえます。
だから価値観の違いがあるのかもしれません。
古い町家が並ぶ祇園町南側や西陣地区のような場所こそが京都らしさといい、そういった町家を取り壊してホテルにするのはもってのほか!という意見があります。
ただ、歴史的にみると、常に最先端である街だからこそ、町家である必要はなく、今の技術が詰め込まれた建物が建つことを望むという意見もあります。
これだけ意見が分かれていると、まとめようもありません。
だから今も議論が続くわけですね。
ただ、今は一定の方向性がでていると思います。
それは、京都というブランドを武器に「観光化」していること。
インバウンドの人が京都に来る割合も増えており、錦市場とかは日本語が聞こえないくらい外国人が多くいらっしゃいます。
そういう人たちが快適に京都で観光できるように、また、京都に観光に来る目的が「古い町並みが残る街」を見ることである以上、町家などを残して維持していくという方向性が出されているような気はします。
京都の人がどう思うかではなく、もはや、観光客が京都というブランドに対してイメージを作ってるわけですね。
いえ、これは決して非難とかではなく、それはそれで正解なわけです。
そのために京都市は厳しい景観や看板条例を制定していますし、地域としてもより景観をよくするために動いている地域もあります。
いまはそういう意味では、観光客が望む町であることこそが「京都らしさ」と感じています。
でも、古い建物はいつかは壊れます。
もっと突っ込むと、今の時代に合わない建物なので、耐震構造ではありません。
耐震工事は可能ですが、そうなるともはや古い建物といえるのか。
方向性がでていても、悩ましい問題はまだまだあります。
でもどうか、これだけは忘れないでほしいと思います。
街というのは常に開発されています。
常に新しく動くからこそ、発展していきます。
これは京都だからといって例外はありません。
と、ここまで話していてふと思いました。
「京都だからできる、京都らしさを出しつつ近代化していく方法はないのか」と。
実はそういう動きも実際にあるんですよね。
住居としては厳しくなった町家。でも梁や壁を活かして店舗には活用できる。
また、老朽化した建物を覆うように、新たな建物を建築し、ショールームのようにすることもできる。
ようは発想なんです。
京都という町は、常に変わっていっています。
そして、何度も来たいと思うような街であるべきです。
私はそういう仕事をさせてもらっていると思っています。
それを糧に頑張っていきたいと思います!
本日は丸毛が担当しました。