2021.12.18

規制の厳しい第一種低層住宅専用地域。50㎡を超える店舗出店が可能な事例とは?

用途地域の中で、店舗にとって一番規制が厳しいもので「第一種低層住居専用地域」がありますね。

今回は、その第一種低層住居専用地域の不思議なことについてまとめてみました。ある意味裏技?

もしかしたら京都市限定かもしれませんが、ご参考になれば。

そもそも第一種低層住居専用地域とは何か。

まず、知らない人もいるかもしれませんので、そもそも「第一種低層住居専用地域」とは何かを説明します。

第一種低層住居専用地域とは都市計画法によって定められた用途地域の一つです。

用途地域とは、全部で13種類あり、ここは工場多いですよ~、ここはお店が多いですよ~、ここは住居ばっかりですよ~という感じで地域を指定しています。

弊社のある四条烏丸は、百貨店はじめ数多くの商店があり、オフィスビルが立ち並んでいます。こういう場所は商業地域と呼ばれます。

商業地域だからといって住むことがダメというわけではありませんが、このエリアは商業地域だから人の往来や車の往来は多いですよ~という場所ということになります。

今回の第一種低層住居専用地域は、「専用地域」というだけあって、住居以外の進出を規制しています。

第一種と第二種とありますが、第一種は13ある用途地域の中でも最も住居に特化したエリアになります。

第一種低層住居専用地域で店舗を出店する場合は?

では、その第一種低層住居専用地域で店舗を出す場合、どうすればよいか。

弊社はテナント仲介の会社ですので、店舗出店目線でお話しします。

第一種低層住居専用地域で店舗を出す場合、以下の規制があります。

・兼用住宅で店舗部分が50㎡以下かつ全体面積の半分未満

とあります。

①兼用住宅

兼用住宅とは「その建物にお店をやる人が住んでいること」を指します。すなわち、2階に別の人が住んで、1階に店舗を別の人に貸すということはできません。

②面積

50㎡以下に限られます。また全体の半分未満でないとダメなので注意が必要です。

※100㎡の建物だと49㎡までしか店舗ができません

③店舗の種類

では50㎡以下なら何をしてもいいのかというとそういうわけではありません。

第一種低層住居専用地域では使用用途も制限されます。

・事務所(一般的なもの)

・日用品の販売店

・食堂や喫茶店

・理髪店や美容院

・クリーニング取次店(工場不可)

・洋服店や畳屋、自転車や電気屋さん等

・パン屋、米屋、菓子屋等

・学習塾等

・アトリエ等

※原動機を使う場合は0.75kw以下

となります。

上記の中にない、ペットのトリミング等は出店できません。過去結構もめたと聞いたことがあります。

店舗を探される場合は、用途地域で出店できるできないがあるのでご注意くださいね。

店舗のみ等は絶対にダメです。

※詳しくは、Wikipediaをご参照ください

しかし、待ってください。

例えば、よ~く用途地域を見ると、第一種低層住居専用地域なのに50㎡を超える店舗が出店してるの見たことないですか?

京都だと、銀閣寺や嵐山等が代表的です。

ものによっては、第一種低層住居専用地域に指定される前から店舗をやってるとこもあるのですが、明らかに最近オープンした店が50㎡を超えていることがあります。

今回のブログの中心的な話ですが、意外な抜け道がありました。

逆転の発想??第一種低層住居専用地域で50㎡を超える店舗が出店できるケース。

ではどのような場合、50㎡を超えて店舗ができるのでしょうか。

全てに該当するわけではありませんが、実際店舗出店して特に行政指導も受けていないケースでご説明します。

まず、第一種低層住居専用地域という用途地域は1968年に制定されました。また、制定されてすぐ各地域指定されるわけでもなく、国や行政によって用途地域は指定されていきます。

すなわち、古い建物であれば、建物が建った当時、第一種低層住居専用地域に指定されていないケースが生まれます。

今回のキモはこれです。

建物自体が第一種低層住居専用地域に指定される前のものであれば、基本的には現行法が適用されません。

それは建物自体について回る権利です。

仮に嵐山で、第一種低層住居専用地域で、大型の飲食店跡の物件で、1960年築の物件の場合、第一種低層住居専用地域で規制されていようが、店舗をオープンすることが可能になります。

ただし、条件もあります。

構造変更や大規模改修等を伴う場合や用途変更を伴う場合、行政に申請が必要なので、この場合は現行法に則る必要があります。

あくまで当時のままであれば権利を主張できるという形ですね。

大型の事務所だったものを店舗にしようとする場合は、50㎡規制を受けるということです。

もちろん、消防法等のその他法規の遵守も絶対条件ですので、消防法等により構造変更などは発生した場合も第一種低層住居専用地域の規制対象となりますので注意してください。

また、いくら権利を主張しようにも、証明できなければ意味がありません。第一種低層住居専用地域指定前にすでのお店があったことを証明する必要があります(建物登記等公的なものに基づく)。

逆に言うと。

・1968年以前の古い建物のみ対象

・当時の用途でしか使用できない

ということになるので、旧耐震の建物になりますし、今後はこんな裏技はなくなっていくと思われます。

一番重要なのは?

そして一番重要なこと。

今回、あくまで第一種低層住居専用地域で50㎡を超える店舗の出店要件という形で説明してきましたが、決して第一種低層住居専用地域の本来の目的を敵視するものではありません。

第一種低層住居専用地域ができた背景には、静かで住みやすい環境づくりという根本の理由があります。

そこに、いくら権利があるからといって古い建物で周りへ配慮せず店舗営業してみてください。

どうなると思いますか?お店が営業できても、あとのことを考えるとしんどくないですか?

お店やることは当然重要だと思いますが、最も重要視すべきなのは、近隣とのお付き合いです。

権利主張も結構ですが、周りには快適な住環境のため引っ越してきた人がおられることは絶対に忘れないでくださいね。

本日は、丸毛が担当しました。

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