2021.06.19

公正証書ってご存じですか?賃貸契約時の貸主・借主のメリットをご紹介!

一般的に賃貸物件を貸すとき、借りるとき、仲介会社さん経由で賃貸借契約書にサインや捺印をするかと思います。

ただ事業用・テナントの場合、「公正証書契約」という形で賃貸借契約を締結する場合があります。

公正証書って皆さん聞いたことありますか?

賃貸以外で有名なところでいうと、遺言や相続等をきちんと定める形で書面化することが有名ですね。

まずは公正証書ってな~に?ってところから説明していきましょう!

一般的な契約書についてはこちらをご参照ください

公正証書契約(賃貸借)とは?

さて、失礼のない範囲で簡略化してご説明しますが、公正証書契約(以下、本ブログでは賃貸借に係る説明とします)とは、法務大臣から任命された公証人という人が作る文書の事です。

貸主・借主・仲介者で作る私文書とは異なり、国が作る公式な文書・書面ということになりますね。

そういった、公的な書面の場合、一般的にどのようなことがあるかというと。。。

 

①裁判の際の証拠書類として有効

決して通常の賃貸借契約書がダメってことではないですが、公的機関が責任をもって作ってる書面という性質上、裁判では間違いのない証拠として提出されます。

②紛失や偽造などがない

公正証書契約の場合、通常賃貸契約と異なり、原本は貸主も借主も保有せず、写しを渡されます。

その際、原本はどうなるかというと公証人役場(公証人がいる場所)にて厳重に保管されます。

ということは紛失した!とか偽造された!とかがないといえるわけです。

③法律に基づいて厳格な文面なので信用できる

公正証書は、存在するあらゆる法律に基づいて作成されます。逆に言えば、法律違反の内容には厳しく、例外すら認められません。

日本は法治国家ですので、法律に基づかれた正式な書類として、どこよりも信用できるといえます。

賃貸の場合のメリット

さて、実は本題はここからです。

公正証書契約の場合、どんなメリットがあるのでしょうか。

これが④になります。

④強制執行

強制執行という言葉は結構怖いですよね。

普段の賃貸借契約の場合、家賃滞納時、まずは電話は手紙で催促し、それでも支払いがない場合、裁判を起こし、その判決をもって強制執行という流れになります。

文字だとこれだけですが、実際に裁判を起こすに当たっては相応の滞納がある状態ではないとだめなのとそこに至るまでにかなりの時間を要します。

ところが公正証書の場合、その裁判等の手続きを経ず、強制執行が可能になります。

いわば、直ちに強制執行される旨、了承したという形になるわけです。

あれ?これって貸主側だけ得な話じゃね?

って思った借主側の皆さん。

借主にもメリットは当然あります。

通常賃貸借の場合、保証金や敷金を貸主に預け入れます。保証金償却等はあるものの、基本的に返還される金銭です。

ただ、これ、貸主が使い込んでたりしてそのお金がなくて、退去時に返還されなかったりすることがあります。

基本的には、この場合も催促して内容証明郵便送って、最後は裁判になるわけですが、これも公正証書の場合、貸主に対して強制執行ができるわけです。

ここまできておよそ検討がつくかと思いますが、公正証書のメリットは、お互いに金銭問題をスムーズに解決させるということに主題が置かれてるわけですね。

ただ、メリットだけではありません。

⑤お金がかかる

そうなんです。公証人という第三者機関に作成を依頼するわけですので、決して安くない手数料がかかります。

基本的には、10年間の賃料総額に基づいて算出されますので、賃料次第ということになります。

(定借の場合はその期間を基準とします)

また、その他には

⑥思っているより手間がかかる

ということです。

これは、公証人と内容を確認し、何度も足を運んで打ち合わせをしてという段階を踏むことになるからですね。

また、契約時に必要な書類なども必要だったりします。

ケースによっては結構面倒で、特に法人契約の場合は注意が必要です。

公正証書契約時の注意点(法人)

まず、賃借人。

実印が持ち出せない等、社内規定があるところもあるとは思いますが、必ず実印を公証人立ち合いのもと押す必要があります。

できない場合は、誰かに委任する必要がありますが、代表者に委任するということが結構難しいのです。

会社というのはあくまで代表個人のものではなく、多数の役員等がいるケースがほとんど。勝手に代表権を行使することは会社法上ダメなんですね。

ということは代表者に委任する場合は、「取締役会の議事録」というものが必要になります。

これは会社の規模を問いません。本来、どんなに小さい会社であってもあるものなんですね。

また、子会社が賃借人で親会社が保証人というケース。

子会社の役員に親会社の代表が入っているケースがほとんどですが、その場合またややこしくなります。

子会社役員で親会社代表ということは、事実上両方に影響力がある人ってことなります。

ですので、会社法上、委任状等を提出する場合、親会社側の取締役会議事録が必要になります。

この辺り、文字にするよりかは実際に公証人に聞くほうが理解はしやすいと思いますが、まぁ、書類をそろえるのも一苦労になるわけですね。

意外とこの辺りのことはネットには出てこないので注意が必要です!

ざぁっと取りまとめましたが、いかがでしょうか?

絶対に使う、というわけじゃなくて、公正証書を利用する程度の気持ちでいいと思いますが、必要に応じて検討するのもいいかもしれませんね。

そうそう!レンタルオフィス募集してますので、ぜひご検討下さい( `ー´)ノ

本日は、丸毛が担当しました。

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